研究室について

小屋は、建築物としては極めて小さく、簡素で単純、仮設的ですらあります。しかし、その成り立ちや変遷を辿ることで、人間が自然環境をどのように捉え、道を通じて入ってくる文化や時代変化をどのように受けとめて適応してきたのかが見えてきます。
例えば、山小屋の原初の姿は自然の窟であり、厳しい山岳の環境下において人間が生存するための最小限のシェルターでした。やがて、環境を読み解いて滞留するにふさわしい場所を選び、周辺で入手できる材料を用いてセルフビルドされるようになりました。また、登山道に沿って建ち、山頂や峠を経て人々が往来する通過点であるとともに、さまざまな地理的・文化的背景をもつ人々の交差点でもあります。
この研究室では、「小屋」を中心に、地域的特質を色濃く残す建築物についてその過去と現在を調査・研究し、それらの成果を未来への継承に活かすことをめざしています。

Huts found on trails are a type of extremely small, simple and even temporary building. However, these huts have the potential to show how humans understood nature, and how they adapted to different cultures or changes over time entering through the trails. For example, mountain huts were originally natural caves that humans used as shelters to survive in harsh mountainous environments. Then, by understanding their environment more deeply, humans chose more suitable places to stay, and built huts by their hands using resources around there. Huts also function as both a waypoint for travelers through summits or ridges, and as a crossover point for travelers with various cultural and geographical backgrounds. In this laboratory, we examine the history and the present situation of huts on trails, as well as the surrounding regional architecture, and propose designs to make good use of them in the future.

奥矢 恵

奥矢 恵 (Megumi OKUYA)

京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 環境科学専攻
京都府立大学 生命環境学部 環境デザイン学科 准教授・一級建築士

経歴

1993 京都府立大学生活科学部住居学科 卒業
1995 東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻
修了・修士(工学)
1995-2004 伊東豊雄建築設計事務所 所員
2006-2015 科学技術振興機構 日本科学未来館 展示企画・設計担当
2015-2019 山梨県富士山科学研究所 研究員
2019 京都府立大学大学院生命環境科学研究科環境科学専攻
修了・博士(学術)
2019- 京都府立大学大学院 准教授